35463人が本棚に入れています
本棚に追加
それを見て俺は何故か可笑しくなり、笑い出す。涙が目から出ているがそれもマスクによって見えていないだろうから気にせず笑う。
「プロトルーパー、千里だけじゃなく氷室も宗二も凛も光もこんな感じに離れていくんだ。だから祝ってやれ。・・・今回は特殊すぎる例だが、妹の兄離れを電話でも何でも良いから祝ってやろう。だから、今は泣け。私でよければ何時でも胸を借そう。」
そう言いながらマスクを撫でるレディーウルフ、マスクで隔てられている筈なのにその温もりが頬に伝わってきたような気がする。
俺は暫く泣いてからようやく体が回復して動かせると気付いて起き上がった。
パシュゥウ!
そのタイミングでハッチが開いた。いつの間にか本部に到着していたようだ。
危なかった。膝枕の状態でDr.ラキアに見られたら何を言われるかわかったもんじゃない。
噂をすれば影と言うものでDr.ラキアがテコテコと歩いてきた。
「おっ帰りー!この様子じゃ、敗北しちゃったのかな?」
「悪の組織では敗北は常だろうに。」
「そりゃそうか!」
そう言いながら俺の頭を見てDr.ラキアは一瞬固まった。
「リーゼントはどうしたの?」
「どうぞ。」
俺はそう言ってリーゼントのなれの果てをDr.ラキアの頭に乗せる。
「うわ~焦げ臭ーい。」
Dr.ラキアはリーゼントのようなアフロのような物を頭に乗せたまま万能型装着装置のコントロールパネルに向かって走っていった。
焦げ臭い匂い以外は気に入ったようだ。
「さ、きりきり装着装置に入った入った!」
そう元気良く此方に言うが、少々疲労困憊気味の俺には、そこまでの距離を平気なふりをして移動する為には歩くのが精一杯だ。
ようやく半分に割れた装着装置の間に立った時にはこのまま寝てしまいたかった。
最初のコメントを投稿しよう!