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2年D組を出た後、直ぐに全力で走った。
顔は下向きに、だが、人とはぶつからないように前方が見える角度で両手で横から顔は見えないようにした。
何故そんな事をするかって?
俺が出た瞬間に2年D組以外の全ての教室の引き戸が開いて俺に視線を向けようとしたからだ。
これである程度は身元を特定の時間を引き延ばせるだろう。
そんな事を考えながら1年B組に戻れた俺は思い出した。
これから毎日がこの状況になるのだと。
「ねぇ、聞いた?」
「え?何々?」
「2年生の先輩で有名な百合姫様が、悪の道に堕ちて男に手作り弁当を食べさせたんだって!」
机で残りの昼休みを睡眠に費やそうとしていた俺は咽かけた。
噂って早いんだな?無駄に高性能で広がらなくて良いんだぜ?
たまに休んだって良いんだよ?千年くらいさ。
そもそも悪の道に堕ちたって、そりゃあ命は悪の組織の幹部ですから既にだと思いますが?
なんて言葉を大声で言いたい衝動に駆られるも何とか抑えた。
「私、同じ趣味のあの人がこの思いを受け止めてくれると信じてこの学校に入学したのに!」
「許さない、その男だけは決して許してならないのよ!」
聞こえない。そうだ聞こえないんだ。聞こえてくる筈が無いんだ。
俺は寝てる。これは夢。夢なんだ。夢であってくれ。
そう願っても耳から伝わってくる現実は変える事ができなかった。
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