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無意味と分かりつつも懇願してしていると、それが現実となった。 「見知った顔だと思えば、青田、君じゃないか。ふふん」 唐突に掛けられた言葉。 誰だか知らないがこれで輝欄との話を逸らせる。そう思い、振り返ると本当に知らない奴がいた。 「こんな所で会うとは奇遇だね。青田、君はなに? やっぱりショッピング? それとも漫才の練習でもしにきたのかい? くくく」 は? 何こいつ? 馴々しい、というよりはどこか見下した喋り方をする男子に、俺は苛つきを感じ始めた。 第一、この男子とは初対面のはずだ。 虎青高校の制服を着ているから、同校なのだろう。 しかし、顔に見覚えがない。 男子の第一印象は『ホスト』 眼鏡を掛けた優男で、同性の俺から見てもルックスは良いと思う。 しかし、絶えず皮肉めいた笑みを張り付かせているため、生意気なイメージが強い。 それから、喋る時に一々、眼鏡を持ち上げるな。格好良いとか思っているのか、コンニャロー。 うむ。やはり記憶にございません。
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