7人が本棚に入れています
本棚に追加
無意味と分かりつつも懇願してしていると、それが現実となった。
「見知った顔だと思えば、青田、君じゃないか。ふふん」
唐突に掛けられた言葉。
誰だか知らないがこれで輝欄との話を逸らせる。そう思い、振り返ると本当に知らない奴がいた。
「こんな所で会うとは奇遇だね。青田、君はなに? やっぱりショッピング? それとも漫才の練習でもしにきたのかい? くくく」
は?
何こいつ?
馴々しい、というよりはどこか見下した喋り方をする男子に、俺は苛つきを感じ始めた。
第一、この男子とは初対面のはずだ。
虎青高校の制服を着ているから、同校なのだろう。
しかし、顔に見覚えがない。
男子の第一印象は『ホスト』
眼鏡を掛けた優男で、同性の俺から見てもルックスは良いと思う。
しかし、絶えず皮肉めいた笑みを張り付かせているため、生意気なイメージが強い。
それから、喋る時に一々、眼鏡を持ち上げるな。格好良いとか思っているのか、コンニャロー。
うむ。やはり記憶にございません。
最初のコメントを投稿しよう!