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……
「輝欄……、あれをどう思うっしょ?」
「う~ん……、付き合ってたりするのかなぁ?」
「い、いや、そういうことじゃないっしょ。女の方の髪型のことだっしょ」
「髪型ぁ?」
キョトンとする輝欄の反応で俺は我に返った。
よく考えれば、知らない女子のポニーが似合うだの似合わないだのなんてどうでもいい。
むしろ、輝欄の髪型を……
目だけを彼女の頭に向けると、そこにはヒョウ柄のニット帽がドンと構えていらっしゃる。
そうだった……。ニット帽は輝欄のトレードマークとも言え、彼女は常に被っている。
これでは髪型を変えようがない。
軽い落胆を覚え、内心で溜め息を吐く。
「あのぉ……青田ん……?」
しかし、輝欄のしているヒョウ柄のニット帽は、ずっと以前に俺が贈ったものだ。
そんな帽子を彼女は宝物にし、大切に扱ってくれている。
それを想えば涙が出るくらい喜ばしいではないか!!
「うん……! 輝欄はそのままでいいっしょ!! 今の輝欄が一番いい!!」
「????」
俺は、疑問符だらけの輝欄の手を引き歩き出す。
今は……輝欄以外のことは考えないようにしよう……
その方が賢明だ。
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