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六月十三日、水曜日。 梅雨に入ったのかどうだか分からない時期だが、今日の空は晴れやかだ。 天気が崩れやすい時期なので、爽やかな日は貴重……、そう思ったのは何も俺だけじゃない…… 平日にも関わらずセントラルベイは沢山の人で賑わっているのだった。 「う~んっ!! やっぱりぃ、都会は違うねぇ!!」 喧騒の中でもハッキリと聞こえる透き通った声。 話し掛けてきたのは俺の幼馴染み、十和輝欄(とわ きらん)だった。 隣りを歩く輝欄は年甲斐もなくはしゃいでいる。……と言っても、彼女は高校三年生なわけだが…… 「都会って……、セントラルベイは単なる田舎の中心街だろっしょ」 見当外れな事を言う彼女に、俺は溜め息混じりに答えた。 もちろん、心の底から呆れているのではない。 むしろ、妹を窘める兄の心境に近い。 「もぉ~! 細かい事を気にしちゃ駄目だよぉ!! ほらぁ~、青田んもぉ、もっと楽しそうにぃ~!!」 あおたん……か。 青短……青痰……、ではないので悪しからず。 青田輝(あおた てる) 俺の名前なわけだが、青田んと呼ぶのは輝欄ただ一人だ。
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