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……俺と輝欄は目を合わせ、しばし黙考。 (残念なことに俺も彼女も視力良好。茜のように伊達眼鏡をする趣味も持ち合わせていない。 ……いや、ごめん。本当はそんなことはどうでもいい。 大事なのは一番最初の文字『カップル』の部分だ!! 大前提となっているのは男女二人が付き合っているということ!! よしんば、そこらの100円ショップで適当な眼鏡を買って来店したとしよう。 するとまぁ、十中八九サービスを受けれるだろうが、それはつまり俺と輝欄が付き合っているということになるのかぁーー!!??) ハッ、と気付くと輝欄を含め通行人やカフェにいる連中が俺に奇異の視線を向けていた。 どうやら、心の中の葛藤が行動に表れたらしく、店の前でウロウロ歩き回っていたらしい。 「青田ん、そこにいたらぁ、邪魔になるよぉ?」 「ごめんなさい……」 恥ずかしぃ…… ここ一帯が完全にアウェイと化した今、もはや長居は無用だ。 入店が無理ならせめて旨いものを持ち帰ろうと判断した。 自棄糞気味に通行人を威嚇して散らした後、俺はカフェの外レジに向かった。
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