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……うーむ。 ここ一ヵ月のこと。つまり、輝欄は事件の詳細を知りたがっているのだ。 正直なことを言えば、あまり思い出したくない事件もある…… 二人も死んだ……ストーカー事件とか…… …… だけど、輝欄は興味本位で聞きたいわけではないはずだ。 むしろ、話をすることで二人の距離が埋まる気すらする。 悩んだ挙げ句、結局、俺は輝欄にこの一ヵ月を語ることにした。 「分かったっしょ……。ただ、ちょっと長くなるかもしれないぞ?」 「話してくれるのぉ!? やったぁ!! 青田んの話ならぁ、何時間かかってもいいよぉ!!」 手を叩き喜びを表す輝欄に、俺の口元が綻ぶ。 さて、喋り出したら止まらないだろうから、先にシュークリームを一口…… フォークで小さく切り、口に持っていく。 クリームは黒色をしている。つまり、チョコだな。 舌に乗せた瞬間に広がる甘味と仄かな苦味。 チョコはチョコでもビターなチョコだった。 甘過ぎず口どけもする。なにより、パイ生地の歯ごたえが半端じゃない。 ふむ。これは旨いや。 さらに口元が綻んでしまった。だらしない表情になってないだろうか。 ……改めて表情を引き締め、咳払いをひとつ。 「それじゃあ、最初は痴漢退治の話からだっしょ……」 俺の口から語られる幾つもの事件。 痴漢退治に始まり、先週の宗教騒動のことまで。 俺はひたすらに輝欄に聞かせてやった。 いつしか、眠くなり机に突っ伏すまで……
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