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「知っているかもしれないが、俺は青田 輝。 あんたは? 名前を聞かせてくれっしょ」 今まで置物と化していた女子の頭が僅かに上下した。 「…… 瀬能(せのう)……ネイ……。……三年八組…………」 聞いてもいない所属を聞かされた時、俺は心中で苦いものを感じた。 八組だと…… 虎青高校ではクラス単位に『組』を使う。 だが、三年八組だけはちょっと事情が違った。 『Hクラス』 それが生徒を始め教師連中までも使う三年八組の呼び名だった。 最大級の畏怖を込めて…… ……この辺は結構デリケートな問題で教師達も手を焼いている。 そりゃそうだろ、と思う。 なんせ、三年生の問題児やヤンキー、それから変人を一箇所に集めたんだからな…… つまるところ、Hクラスとは一癖も二癖もある連中の巣窟なわけだ。
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