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「じゃあ、その用件はなんだっしょ!?」 ……若干の間のあと。 「相談…………したいの」 出てきたのが、この言葉だった。 同時に、髪に隠れていた目がチラリと覗き……、俺の背筋を凍らせた……!! め、目が死んでいる……!! 濁っているとかそういうレベルじゃねえ。 焦点すら定まってなさそうな目で見られていると考えたら、吐き気が込み上げきた。 というか、相談って……マジで言ってるのか? この女はもはやそんな次元とは別の存在だと思うのだが…… 俺が返答に戸惑っていると瀬能はまた俯いた。 彼女からの視線が外れると、呪縛が解けたように肩から力が抜ける。 「昼に……また」 そのまま踵を返す瀬能。 「お、おい! ちょっと待つっしょ……」 慌てて引き止める俺だったが、その瞬間チャイムがなり出した。 予鈴だ。あと五分でホームルームが始まる。 気付けば、玄関に生徒の姿がほとんど見られない。 仕方なく瀬能の背中を見送り、彼女の最後の台詞を思い出す。 「昼休みにまた会わないといけないのかっしょ……」 正直、気が重い。
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