5/26
前へ
/150ページ
次へ
それにしても……何と言うか…… セントラルベイは人が多いため、中には変な連中もいる。 『森ねずみー、森ねずみー』などとブツブツ言いながら歩く黒ずくめの集団だったり…… 『オートゥーラビュゥーー!!』とか歌いながら闊歩する外人がいたり……(こいつは何故か手から血を滴らせている) 誰かあの変人どもを逮捕してくれ……。俺はこの街の行く末を案じずにはいられなかった。 ……と、思考が脱線していた時、不意に俺の袖が引っ張られた。 「うん? ど、どうしたっしょ、輝欄」 行き先の決定を催促されたのかと思い、若干緊張しつつ輝欄に顔を向ける。 しかし、それも杞憂だった。 輝欄は慰めるような労るような、とにかく優しい表情を浮かべていたのだ。 「青田ん……、そんなにぃ、悩まなくてもいいよぉ。青田んのぉ、行きたいところにぃ、私は付いて行くからぁ」 輝欄はニコリと笑い、最後にもう一言。 「青田んと一緒ならぁ、どこだってぇ、楽しいんだよぉ」 …… ……な、なんて良い娘なのだろう……!! こちらが赤面することを臆面なく言いやがる……!!
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加