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反則だろ、おい。断れるはずがねぇ……
「う~ん……、どうするかなっしょ……」
俺はひとまず、迷う演技をする。
チラチラと輝欄の反応を窺うと、彼女の瞳には不安が混じっているようだった……
真剣に思考を巡らせてみる。
瀬能の相談内容や目的はまるで分かっていない。
即ち、危険度も不明なのだ。
しかし、輝欄は相談に同伴しようと言っているだけなのだ。
話し合い自体を危険視する必要はあるのか?
いや、ないよな。
……
「ま、まあ危険はなさそうだからな。お願いしてもいいかっしょ」
最終的に、俺は同伴を許した。
危険がないなら、輝欄が側にいてくれた方が心強い。そんな思惑があったからだ。
裏のある俺の台詞だったが、輝欄は嬉しそうに微笑んでくれた。
「良かったぁ~。これでぇ、青田んと一緒にいるぅ、時間が増えるねぇ!」
ズキュゥゥゥン……
何かが俺のハートを貫いた……
輝欄の無垢な笑みが
輝欄の偽りなき言葉が
俺を酷く動揺させる。
「うはははは……、そ、その通りだっちゃ」
だ、駄目だ!! テンパり過ぎて語尾がおかしくなっている!!
顔が熱いぃぃ~!!
そんな様子がおかしかったのか、輝欄は声を上げて笑い出した。
つられて俺も笑う。
二人は互いに笑いあった。
あー……、なんて幸せな時間なのだろうか。
まあ、そんな幸福タイムが長続きすることを神が赦してくれるはずもなく。
開け放たれた扉から、瀬能が姿を表した時。
急速に体の熱が引いていった。
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