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ここは本来立ち入り禁止の屋上。
この高校の連中は意外に真面目なのか、屋上には行かない。
なので俺と輝欄以外が屋上に姿を表すのは非常に珍しい。
というより、大概は俺に用があってくるのだが……
「……客が来るのは久しぶりだっしょ。で、何しに来たんだ」
俺は瀬能に対し語気を強めた。
相談の件で来たのは明白だったが、わざと質問する。昼食を邪魔されたことに少々腹が立っている。
だが、瀬能は表情一つ変えず俺達の下へずるずると迫ってきた。
うぐ……
生理的嫌悪で身を退きかけたが輝欄の手前、情けないことは出来ない。
昼食は諦めて覚悟を決めなければ。俺は立ち上がり、輝欄を庇うような位置で構えた。
それから、さり気なく輝欄に手の平を向ける。
《俺に任せろ》
合図が伝わったらしく、小声の可愛らしい返事があった。
ふは~……良き声である。体がホクホクしてきます……
「………………………………」
プギャー!!!!
一瞬の油断が命取りになった!!
瀬能は既に俺を呪い殺せる間合いに入っていた。
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