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俺は照れ隠しと褒めることを兼ねて、彼女の頭を撫でた。 ニット帽子越しだが、輝欄はくすぐったそうに身をよじりだす。 大きくつぶらな瞳をギュッと瞑る様は、猫にそっくりだ。 ……よし、決めた。 輝欄の頭から手を放す。今度は真直ぐに目を見て話せそうだ。 「……取り敢えず、ぶらぶら歩こうっしょ。で、寄りたい所があったら寄る。 ……それで良いかっしょ?」 「うんっ!!」 快活な返事とともに差し出された手を、俺は迷わず取った。 さあ、散策の始まりだ。 特に予定もなく無意味になるかもしれないが、全く問題ない。 今日の目的は輝欄と一緒にいること。 最近の忙しさにかまけ、彼女の相手を怠ったことに対する贖罪をすることに意味があるのだ。 もう一度、輝欄を見る。 彼女の満面の笑みは変わらず、俺を安心させてくれる。 何の憂いもなく…… 俺達は街の喧騒に身を委ねることが出来る……
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