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それから放課後までの時間、俺は図書室で寝て過ごした。
風の噂によると、女子達が暴れた教室は半壊寸前らしい。
早々と逃げた俺の判断は間違っていなかったというわけだ。
「くぉ~ーー……」
背伸びをしてから席を立つ。
さて、輝欄を迎えに行きますか。
と、思った時。
「だぁ~れだぁ?」
不意に視界が遮られた。温かく、柔らかい感触が目の回りを覆っている。
「……こんなことするのは輝欄しかいないっしょ」
「当たりぃ~!!」
嬉しそうな声と同時に光が戻る。
目の前には輝欄の顔があった。
やれやれ、とニヤけとも取り兼ねない苦笑をする。
せっかく立ち上がったのに彼女の方から来たのでは仕方がない。
輝欄に席を勧めて、俺は座り直した。
俺が引いた椅子に喜々として座る彼女を見ながら考える。
図書室には誰もいないと思っていたのだが……。俺に気付かれずに背後に回るとは……
さすがだぜ、輝欄。
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