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「それで? どうして俺がここにいるって分かったっしょ」
「ん~? えっとねぇ……」
人差し指を下唇に当て、視線を天井へ向ける輝欄。
頭の上に『?』が浮かんでいるようだが……
「……何となくぅ、かなぁ?」
「そうですかっしょ……」
予想通りだった。
まあ、俺達は赤い糸で繋がっている、ということか。
あ! 止めて! なんか勝手に恥ずかしくなってきた!!
「ゴホンっ!!」
咳払いにて一旦場を濁す。
「輝欄、話しておくことがあるっしょ」
そう。こちらが本題。
輝欄を迎えに行く手間が省けたのだから、ここはスピーディーにいこう。
「俺は瀬能の依頼を受けるつもりだ。それで、さっさと片をつけるっしょ」
――だから輝欄は先に帰ってくれ。
そう言おうとした。だが、
「瀬能ちゃんのぉ、探し物のことだよねぇ」
……輝欄に先制されてしまった。
なるほど、彼女も俺と同じ答えに至ったらしい。
穏やかに微笑む輝欄の顔の奥には、全てお見通し、という意思が見え隠れする。
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