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俺は瀬能に会うためHクラスに向かっていた。 斜め後ろには、輝欄もしっかり付いて来ている…… 今回の相談は危ない内容ではない。彼女に危害は及ばない。 そう自分に言い聞かせて、俺は輝欄の同行を許した。 無味乾燥な見飽きた廊下も、輝欄といればそれだけで色付いて見える。 それだけ安心感があるということだろうか。 図書室を出てから会話はないが、気まずさはない。 長い付き合いだからこその信頼であり、それが安心に繋がる。 対瀬能には、やはり一緒にいて正解だったよ、輝欄。 ……それにしても。 何やら賑やかだな。 先程から何人もの人間が廊下を走り、俺達の横を通り抜けて行く。 授業は終わったのだからさっさと帰ればいいものを。それとも、何かあったのか? ま、俺の知ったことではない。 ……やがて、Hクラスに近付いた時には周りから慌ただしさが消えていた。 問題の中心からは離れたようだ。ホッと息を吐く。 「ねぇ青田ん、あれを見てぇ」 輝欄の声で気付く。 Hクラスの前に二人の男女がいた。 一人は瀬能、もう一人は……波照間だった。
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