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二人は何か会話を交わしているようだったが、離れているため聞こえない。
昨日も同じような光景を見た気がする。デジャヴというやつか。
違いと言えば、瀬能の髪型が三つ編みになっていたことだ。
だから……、あの女は何故にわざわざ似合わないことをする。
昭和の幽霊にしか見えねぇよ。
俺が内心で毒づきつつ二人に近付いた時、波照間がこちらに気付いた。
すると、どうしたことか。
明らかに話の途中にも関わらず、奴は瀬能から離れていった。
俺の方に歩いて来る。
何か用か? と構えそうになったが、波照間はそのまま通り過ぎて行く。
……クスクスと嘲りを交えて。
……
こめかみの血管がヒクヒクする。
野郎の背中に飛び蹴りをかましたい気分を懸命に堪える俺。輝欄が袖を引っ張ってくれなかったら、本気で飛び出していただろうな。
しかし、……俺は本当に嫌われているようだ。
波照間との面識はほぼ皆無のはずなんだけどな。
まあ、いい。
今は目の前の三つ編みお化けの相手に集中しよう。
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