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三つ編みお化けこと、瀬能はただ静かに佇んでいた。
虚空を見つめているのかと思ったが、そうではなかった。
彼女は波照間の背中を見送っているようだった。
……何か嫌な感じだな。
二人の逢瀬を邪魔したことで呪い殺されたりしないだろうか……
馬に蹴られるよりリアリティがあって恐いぜ。
「よぉ……
邪魔したみたいで、悪かったなっしょ……」
ひとまずは下手に出る。俺が事を穏便すませようとするのは、喧嘩腰の波照間への対抗心もある。
俺の謝罪を含んだ呼び掛けで、瀬能は初めて気付いたかのようにこちらを向いた。
向いたとはいえ、相も変わらず前髪で目が隠れていた。なので、俺を見ているとは言い切れない。
輝欄を睨まれたら堪らん、と俺は立ち位置を変えた。
「…………なに?」
「……
なに? じゃねえっしょ……。相談があるんだろ、昼休みの続きだっしょ」
そこまで言っても瀬能の反応は薄い。
仕方がないので、俺は推理した相談の内容をぶつけることにした。
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