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「間違ってたら申し訳ないのだが……
瀬能は何か大事なものを無くしたんだろっしょ? で、それを俺に探して欲しいっていう相談だと思ったんだが……」
始終無表情の瀬能。聞いているのか? 理解しているのか? ってか、やる気あるのか?
台詞を変えて言い直そうと思った瞬間、彼女は唐突に歩き出した。
「お、おいおい……!!」
これには堪らず抗議する。
行動が読めなさ過ぎる!!
追うべきかどうか考えあぐねている内に瀬能は曲がり角へと消えて……
と思いきや半身だけをのぞかせ手招きをしだした……
「なぁ輝欄……、あれは地獄へのお誘いって事でOK?」
「う~ん……、とにかくぅ、追い掛けようかぁ。毒を食らわばぁ、皿までだよぉ」
いや、毒ってレベルの恐さではない。
第一、喰われるのは俺達の方かと……
しかし、輝欄の言う通り、他に選択肢はない。
瀬能も俺達が動くまで手招きを止めないようなので、とっとと止めさせるか。
重たい一歩を踏み出す。
六月の真っ直中だというのに、身体には寒気がまとわりついていた……
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