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俺が追いつくや、瀬能はまたも歩を進める。
溜め息をつくのもそこそこに、俺と輝欄は彼女の後を追う。
「おい、どこへ行くつもりだっしょ」
「…………行けば、分かる……」
前を向いたままの瀬能の呟きが、辛うじて耳に届いた。
どうやら、教えてくれるつもりはないらしい。
輝欄と顔を見合わせると、彼女は苦笑しながら首を振っていた。
諦めろ、ということか。
まあいい。瀬能に聞きたい事は他にもある。
それは、昨日セントラルベイで見かけた時から疑問に思っていた事。疑問は様々な人から話を聞くたびに膨らんでいった。
「なあ、瀬能。お前、波照間とは仲がいいのかっしょ?」
正直に言えば、まともな答えを期待していたわけではなかった。
黙って付いて行くのが嫌だったので、会話のネタにしただけだ。
なのだが……
瀬能は歩みをピタリと止めた。
「うぉっ、っとっとっと……!!」
急に止まるので、ぶつかりそうになる。必死で踏み止どまったが……
文句を言おうと……
いう余裕はなかった。
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