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……瀬能がこちらを見ている。
例の虚ろな瞳を覗かせて……
口を開くことなく、俺を睨み付けている。
背中に水滴が流れる。ゾワリとして気持ちが悪い。
冷や汗か脂汗なのか、額も湿っている。
な、何なんだ……
まさか地雷だったのか?
情けなくも弁解しようとしていた俺だったが、フッと身体の重圧が解けた。
瀬能は金縛り攻撃を止めたのだ。
再度歩いて行く彼女の背をしばし見つめた後、俺は大きく息を吐いた。
今度のは溜め息ではなく、安堵の吐息だ。
肩をつつかれる。振り向けば、輝欄も若干だが青褪めていた。
「青田ん……、おとなしくぅ、付いて行こうよぉ……」
彼女の台詞は懇願に近い。
自分のためにも、俺は素直に頷いた。
「ああ……そうだなっしょ。……しかし……
危なかった……、今のは危なかったぞ……!!」
ちょっとふざけてみたが、鳥肌は立ちっ放しだった……
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