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「そっかぁ……。この金庫はぁ、忘れものをぉ、保管するのにもぉ、使われてたはずだよねぇ」 惚けていた俺は、輝欄の一言で我に返る。 そして、改めて状況を整理し直した。 「ああ……そういうことかっしょ。これといって意味のある金庫ではない。だが、無駄に放置しておくわけにもいかない。だから、仕方なく色んなものを保管するために使われていたなっしょ。 つまりは、瀬能が無くした大事な物ってのが……この金庫にあるわけだ。 そういうことだろ?」 最後に瀬能へ問い掛けた。 カクッ、と彼女の首が前に倒れる。……肯定の意だ。 しかし、まあ…… 一も聞いてないのに十を知る俺達はなんて凄いのだろうか。 自画自賛したくなるのだが、分からない事はまだまだある。 「落とし物なら、先生か誰かに頼めば返してくれるんじゃないかっしょ?」 第一の疑問。 というより、考えるまでもなく、ごくごく常識的な質問だ。 金庫の管理をしているのが誰なのかは知らないが、少なくとも俺に相談すべきことではないような気がする。
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