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「…………ただ」 そこまで言って、瀬能は金庫に向かって歩き出す。 頼むから中途半端に言葉を切るのは止めてくれ…… 仕方なく後を追う俺と輝欄。 瀬能が立ち止まったのは金庫の入り口、巨大なハンドルの手前だった。 円の直径はゆうに三メートルを超えている。冗談みたいな大きさだよ。 「……一人じゃ…………開けられない……」 ボソリと呟く瀬能は、何となく悔しそうに感じた。 しかし、言っている事には納得だ。目の前の扉を開けるのは、とてもではないが一人では無理だ。 試しにハンドルを動かそうしてみるが、ビクともしない。 「ふぬぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!」 義手の力を全開放してみるも結果は同じ。 「…………無駄」 瀬能の駄目出しにヘコんだ…… 「ふぬぅ、じゃ開かないと思うよぉ」 輝欄さん、それは関係ないと思いますよ……
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