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一人では開けられない金庫。
「だったら何人なら開くっしょ? 二人か? 三人か?」
尋ねるも、相変わらず返事はない。
代わりに、瀬能はハンドルを右側から握りしめた。
……
この女……、人を置き去りにして話を進めるのがとことん好きなようだ。
物言わず、俺に顔を向けているようだが……
まあ、反対からハンドルを掴めという事だろうよ、きっと……
空気を読んだ俺が左側からハンドルを握った瞬間。
「…………フッ…………フッ……」
唐突にハンドルを回そうとする瀬能。
急なことだったので反応しきれない俺。当然のごとく、ハンドルは回らない。
「待て待て!! ちょっとは息を合わせるっしょ!!」
「…………フッ…………フッ……」
ガチで無視された……
軽く舌打ちしてから、仕方なく奴に合わせてハンドルを回す。
瀬能はハンドルを下に押しやり、俺は上に持ち上げるように回す。
すると不思議な事に、あれだけ固かったハンドルが、ゆっくりと動き出したのだ!!
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