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「うわぁ~……、ここから探し物をするのはぁ、大変そうだねぇ」 一緒に金庫に入ってきた輝欄は頬を軽く掻きながら言った。 激しく同意だ。俺は黙って頷いておく。 「とにかく……、さっさと済まして帰るっしょ」 面倒くささを堪えて動こうとした俺だが…… いまさらながら大事なことを失念していた事に気が付く。 「おい、瀬能!! お前がなくした物って何だっしょ!!」 それを聞かない事には始まらないし、探す事も出来ない。 さすがの瀬能も今回の質問には答えてくれた。 ボソボソと小さい呟きも、密閉された金庫内部では幾分聞き取りやすかった。 「……ペンダント……十字架の……」 十字架のペンダント……? ネックレスではなくペンダントか…… ふむ。まあ、それだけ聞けば十分か。仮に複数の同類品があっても本人に確認してもらえばいいわけだからな。 「よしっ!! とにかく行動あるのみだっしょ!!」 うぉぉ!! 俺、なんてポジティブなんだ!! ってか瀬能がまた消えてる!! 「マジ、何なのあの女!!」 「まぁまぁ……、瀬能ちゃんはぁ、きっと見張り役なんだよぉ」 怒り狂いそうになる俺を輝欄は宥めようとする。 グッ、と息を飲み込む。 輝欄の前で取り乱したくはない。 それに彼女の言うことは理に適っている。 現状、俺達は金庫に忍び込んでいるのだから、教師に見付かるのは非常にマズい。 そのため、見張りは必要なのだ。 …… ……それに、瀬能と密室に入るのは恐いからな…… 別にいいよな。 というわけで、俺と輝欄の物色が開始された。
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