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ペンダントという小さな物を無闇やたらに探したのではとても効率が悪い。 そこで、改めて内部を見渡してみた。 金庫内部は吹き抜けの三階構造で、各階には梯子で上り下りする。 全ての物は、奥と左右の壁際、つまり『п』の形で置かれている。 一階は比較的大きな物が乱雑に並び、二・三階には棚とともに段ボールが山積み状態。 それから、二階に上って気付いたのだが、段ボールにはそれぞれ文字が書かれていた。 『傘』『教科書』『鞄』 幸いなことに、段ボールの中身が一目で分かるようになっていたのだ。 「先生達がぁ、マメで良かったねぇ」 輝欄が感心したふうに笑いかけてくる。 つられて笑う俺。思わずニヤけてしまった。 「そうだな。これで全部の箱をひっくり返さなくて済むっしょ」 ここで、俺はさらに思考を巡らせてみた。 重い物ほど下の階層に置かれているのは明白。 だとすれば、ペンダントは…… 「三階だなっしょ」 「私もぉ、そう思うよぉ」 満場一致で三階行きだ。
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