7人が本棚に入れています
本棚に追加
――――
どれだけの時間が経っただろうか。
光も音もない世界では時間の感覚が失われる。
人間はなんて脆い生き物だろう……、なんて哲学的なことを考えているうちに眠ったりもして、かなり時間が経った頃。
俺は携帯を開いて目も見開いた。
閉じ込められてから、ゆうに二時間が経過していた。
「阿呆か!! 呑気にも程があるぞ!!」
自分で自分をなじる。無理もない。実際、これはもう確定だろ。
……俺は閉じ込められたのだ……
事実を受け止めた瞬間……
俺は諦めにも似た深い孤独感に襲われた。
世界から切り離された一画。誰からも見られない自分。そして……いずれ訪れるであろう死……
ゾクリ、と冷気が背中を抉る。
(そんな馬鹿な死に方があるかよ!! 誰か……、誰か呼ばないと!!)
金庫に取り残されたと分かった以上、校則違反だの体裁を気にしている場合ではない。
俺は金庫の扉をひたすら叩いた。
「おーい!! 誰か!! 誰かいないか!! 金庫の中に閉じ込められた!! 誰かいないか!! おぉぉぉぉいっ!!!!」
叫ぶ。喉を痛めるくらい叫ぶ。
叩く。手が痛くても、手が腫れても叩き続ける。
だが。
一向に返事はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!