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……
「……くっそ……」
ついには、力なく膝をつき倒れ込んでしまった。
くっそ……、と内心で何度も繰り返すたびに焦燥感が募ってくる。
「いや待て!! 携帯があるじゃねぇか!!」
一縷の希望を見付けて飛び起きる。
現代人の必須アイテムにして文明の利器の結晶。
そんな携帯の存在を忘れるなんて、本当に冷静さを欠いている。
だが、これで!
携帯を開いて誰かと連絡を!!
……
「な! え……?」
け……
圏外!?
あれ? そんな!
だって!! あれ……?
頭が混乱して考えがまとまらない。
自分の見たものがまるで信じられない。
圏外……、ようするに通話が出来ず、その時点で携帯電話という道具はただの懐中電灯に成り下がったのだ。
使えねぇ……、なんて使えねぇ……
ミシミシと軋むぐらいに携帯を強く握り締めた。
そうしないと床に叩き付けそうになる。
「どうすればいいんだよ……」
呟き、俺は再び床に座り込んだ。
先程の時とは、意味合いがまるで違う。
今、俺にあるのは絶望だけなのだから……
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