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『イイよ、お父さんゆっくり休んで!』
『…』
『ずっと休んでなかったんだもん、今日はゆっくり休んで、ね!…休まないと身体壊しちゃうよ?』
父は休む暇無くいつも一生懸命に働いてくれているのだ。
優しい父の事だから、
私が我が儘を言えば疲れた身体に鞭打ってまで私のソレを聞き入れてしまう。
自分を奥に押し込めて、
わざとらしい位に『ニカッ』と笑顔を作る。
父は私の様子を気取ったのか、申し訳ない様な切ない様な表情を浮かべて微笑んだ。
暫く沈黙が続く。
多少のもどかしさを感じる。
もっと父と何かを話したいけれど、何を話して良いか分からない。
どうやら父も私と同じ気分らしく、そわそわと落ち着かない様子だ。
顔を合わせる時間も話す時間もほとんど無かったのだから仕方がないのだけれど、
私はどうにかしてその
『今まで触れ合えなかった時間』を埋めたくて思案を巡らせる。
―…ああっ!
静寂と沈黙が沈殿した空間を私のすっとんきょうな叫び声が突き破る。
私の声にビックリしたのか、少し微睡んでいた父の顔に緊張が走った。
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