1人が本棚に入れています
本棚に追加
『な、何だ?どうした?』
咄嗟に思い出したのだ。
先週の金曜日、家庭科で習ったお味噌汁の事を。
いつか父に自分の作った料理を食べさせてあげたいと思っていた。
今がまさにその時ではないか!
『私、お味噌汁作れる様になったんだ!お父さんに食べて欲しいな~』
私の突然の提案に
父は少し考えた後、うんうんと笑いながら頷いた。
『そうか…お前の作った味噌汁、喰ってみたいな』
その言葉が嬉しくて、
思わず飛び跳ねてしまう。
『やった!今作るね』
早速台所に向かい作業に取り掛かる。
鍋になみなみに水を汲み火を掛け、手元が多少フラつくがゆっくり確実にジャガイモの皮を剥いていく。
皮を剥く…というよりも、実ごと削ぎ落としている、という表現の方がしっくりくる。
父が度々心配そうに顔を出したが、その都度ソファーに追い返した。
その後、火傷や切り傷、タマネギから発生する涙と格闘しながら何とか味噌汁を完成する事が出来た。
不格好なジャガイモと不揃いな幅の玉葱が浮かぶ味噌汁。
父は嬉しそうに碗に盛られたそれを眺めていた。
最初のコメントを投稿しよう!