殺人鬼に花束を

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そのウィリーの顔はどこまでも安らかで、どこまでも優しかった。     マクドナルドだけを薄暗い部屋に残して、彼は看守に手を引かれ廊下へと出ていった。   死へ続く廊下へ…   小さな弱々しい足音が遠ざかっていく。     暫く茫然と涙を流していたが、胸の中が一杯になった熱い感情が、マクドナルドの身体を衝き動かした。   気が付けば 中年刑事は走っていた。 自分の頭と身体が切り離されたかの様な感覚。 走る足がスローモーションに見え、廊下がとても長く感じた。     遠ざかっていく憐れな足音を追い掛けた。 只管に、無心に。 その力強い気配に気付き、ウィリーは小さな歩みを止めた。   『君は!!』   肩で息をしながら、 マクドナルドは心の底から叫んでいた。   『君は、微かにせよ理性と罪悪感を持っていた!君は獣なんかじゃなかった!ちゃんと【人】だったんだ!!』   強い強い肯定。 生まれて初めて投げ掛けられた肯定に、背を向けたままウィリーは小さく答えた。     『有り難う…御座います…』     その身体は、 微かに震えていた。
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