青年は遺書を買いに

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…店員のやる気のない 『ありがとうざぁいやしたー』 の掛け声に見送られ、 気が付けば両手一杯に袋を抱えて一人家路につく。     何かを忘れている気がして コンビニに引き返す事を一瞬考えたが、 両手にぶらさがっているビニール袋が重みに耐え切れず、 早くも引き千切れそうになっているので止めた。     これは… もう一刻の猶予もない…!!   もし袋が裂けでもしたら、 これだけの大荷物をどうやって持って帰ればイイ!?     風の抵抗を避けつつ なるだけ速く移動する為、競歩という手段に出る。       ふと僕の横を ランドセルを背負った子供達が笑いながら風の様に駆けて行く。 そろそろ日が暮れる。 もうそんな時間か。   兎角深い意味など無いが 僕も少し歩く速度を速めた。          それにしても僕は、 何を買いにコンビニへ行ったんだっけ?
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