青年は遺書を買いに

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『うん、…うん』   視界に映った大きなビニール袋がゆらゆらと揺れる。 身体が震えているせいか、発する声もたどたどしい。   『うん、大丈夫だよ、うん』   『自分の為に、こんだけ買い物出来んだもん、大丈夫だよ』     笑いたかったのに、 大粒の涙と独り言がポロポロと足下に落ちて滲んだ。   色んな感情がグチャグチャに合わさって、どう表現していいのか分からないまま大声を上げて泣いた。               さぁ、お湯を沸かそう。 キムチラーメンを早速作ろう。 自分の為に。                 【青年は『遺書』を買いに・了】
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