10年…そして20年

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気付けば城には多くの魔族が集っていた 頭が牛の大男ミノタウロス…巨大なイカのクラーケン…3つの頭を持つの黒狼ケルベロス 小柄な悪戯好きの妖精ゴブリン、そして様々な生物の集合体のキメラ 我々魔族は人と交わる事をせず捨てられた村や廃墟となった街、広々とした野原になる木の実などを集め皆が平和に生活をしていた しかし、私が生まれ20年目にして異変が起こり始める きっかけは一人のスライムとゴブリンから始まった 二人がいつものように保存食用の木の実を集めていた所、巨大な剣を持った銀色の鎧を身に纏った男と一人の魔術使いの女、格闘家の男の手によって虐殺されたのだ 理由は『人でない物は悪である。人でないものは駆逐せよ。悪の化身を抹殺し平和な世界を作る』と言う物だ。 世界の王は名の有る武芸者を集め、その中からさらに選りすぐりの戦士を編成させ魔族狩りを始めたのである。 戦士たちは勇者と言われ各地に広まっていた私の友を次々と殺してゆく   『王よ…今日は東に向かっていたミノタウロスとその仲間120人の命が人間の手によって召されました…』 『そ…うか…いつまで続ける…人間…我々が何をした…我々はただ、静かに生きたいだけと言うのに…』   勇者と呼ばれる人間が私の仲間を殺した森や野原には街や村ができ 私達の住む場所が徐々に狭まってきているのを肌で感じ始める 青々と広がる海で漁をしていたクラーケンやデビルシャークも海を荒らす魔の化身と称されその命を奪われた… 次々と仲間が奪われ身を引き裂かれる想いを胸に私はそれでも人間を皆と同様に愛していた
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