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ミリアは良く笑うようになってきた
『ベッドの横に立つのは私の専売特許なのに…王に横取りされてしまいました』
と皮肉を混じらせ、それでも優しく微笑んでくれるようになったのだ
日にちが経つに連れ
我々魔族の住む場所は狭まり
気付けばこの城を囲む森だけになっていた
『王よ…人間が遂にこの森にまで足を踏み入れました…この城に攻め込まれるのも時間の問題かと…』
『そうか…キメラよ…怪我をしている者、そして全ての同朋を連れ海の向こうに逃げよ。』
そうキメラに言うと隣に居たケルベロスが吼える
『王よ!何故人間にそこまで!奴らは駆逐するべきです!真に悪なる者は我々ではなく人間!己と違う生物、愛らしい生き物以外は全て化け物だと忌み嫌うあの下等な生物こそが滅ぶべきではありませんか!』
『ソレをしてしまえば我々は真の魔となろう…よいか…奪って良い命などこの世には無いのだ…皆それぞれが生きている…さぁ!早く同胞を連れ逃げよ!』
悔しそうに歯をかみつつキメラとケルベロスは部屋を出る
数分もした後城の中が静かになった
皆逃げたのだろう…
ふとミリアを見るとミリアは悲しげに私を見る
『王よ…』
『もう誰も居ない…私とお前だけだ…私はもはや王ではない…』
『カオス…それでも貴方は私の王…なぜ逃げないの…ですか?』
『ミリアを置いて行ける訳が無いだろう?それに私は曲がりなりにもこの城の王だった者だ。王が城を捨てるわけにはいかんさ…』
『逃げて下さい…私に構わず…この城を捨て逃げて…』
『ミリア…それは出来ない…愛する者を置いて逃げるなど出来るわけが無いだろう?』
『王…』
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