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「元柳斎、アンタはその事を知っていたか?」
「……」
何も答えない元柳斎を見て、空鶴はやや皮肉じみた笑みを見せる。
「ま、知るわきゃねえよな、全部俺が処理してたんだ」
面倒臭そうに頭をかき、空鶴は八本の斬魄刀を袋にしまう。
「俺としちゃあ、もう少し粘りたかったんだがな。
五件目の報告が来たあたりから、流魂街の連中も皆、いい加減どうにかしろって煩くなってきてよ」
少しずつ、元柳斎から重い空気が漂い始めた。
「…志波空鶴、一体いつから主はそこまでの権限を持つようになった?」
元柳斎から放たれる凄まじい霊圧が、辺りにのしかかる。
空鶴も、やや気圧されはするが、まるで引く気はない。
「権限云々の問題じゃねえ、てめえらのそういう過ぎた傲慢が、連中を下に見るっつう嘗めた思想を作り出してんだよ。
だから末席の席官なんぞが意気がって、こういう馬鹿やらかしてんだろうが!!違うか!?元柳斎!!」
全く自分を恐れぬ空鶴の姿を見て、一瞬元柳斎の頭に一人の死神の姿が想起される。
「………やはり兄妹…か」
空鶴は1つ息を吐き、元柳斎を見る。
「…図に乗りすぎた、アンタと口喧嘩しに来た訳じゃねえ……用件、言わせてくれ」
「…うむ」
向き合う二人の雰囲気ががらりと変わったのを、夜一は肌で感じていた。
「正直言うとな、俺が十三隊への入隊を決めたのは、この案を出す為なんだ、その為なら何番隊だろうと構わなかった」
元柳斎は、黙って一度頷いた。
「用件は1つだ…俺の隊を…」
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