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その頃、九番隊隊舎。
恋次が隊舎の中を歩き、檜佐木の姿を探していた。
「オイ、檜佐木さんは?」
声をかけられた男隊士が、ビクリとして恋次を見る。
「あ、阿散井副隊長…副隊長なら現世の乗り物乗ってどこか行っちゃいましたけど…」
恋次はまたかと言いたそうな顔をして、先へ進んでいく。
そのまま歩いていくと、隊首室が見えた。
隊首室の前で足を止め、扉に手をかける。
「まあ、隊長に頼むしかねえか……急ぎの用があったら最悪射場さんだけでもしょうがねえ」
恋次は2回、軽く扉を叩く。
「六番隊副隊長の、阿散井恋次です、隊長にお願いが…」
[いーよ、入ってきて]
恋次が話し終える前に、やや高めの男声が返ってきた。
「失礼します、実は五番隊の空鶴隊長の書…」
恋次は、椅子に座る男の姿を見て思わず固まってしまった。
「んー?どしたの、空鶴隊長が何だって?」
机の上に足を上げ、羽織は椅子にかけ、上半身裸のまま書類に目を通していた。
「……いい加減しゃんとしてくださいよ…隊士達に示しがつかないっすよ、その格好…」
「大丈夫、部屋に居る時以外は礼節に長けた常識人として振る舞ってるから」
この男が、新たに空席の九番隊隊長に就任した死神。
「かれこれ1年以上隊士には見られてないし、まだ暫くは大丈夫だって」
“垣沼虹織”である。
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