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「…まあ、痛い目見るのは隊長っすから、俺は別にいいんですけどね」
「うん、それはいいとして話あるんでしょ?空鶴隊長が何かやったの?」
書類に目を通しながら、垣沼が言う。
「いえ、雛森から聞いたんですけど、急ぎの書類が溜まってるのにまだ隊舎に来てないらしいんすよ。
どうも隊長がやらないといけない書類みたいで、手伝ってくれる人を探してたんですよ、一応京楽隊長も来てくれてるんすけど…」
「あ~…まあ、最近事務仕事多いからね、俺も手伝いに行くよ、さっき終わったとこだし」
眺めていた書類を机に投げ、垣沼は立ち上がる。
「でも今空鶴隊長…総隊長と一緒に居るよね?何でだろ」
咄嗟に恋次は霊圧を探る。
「…あれ、本当っすね」
「ま、いつまで経ってもこっちに居移さないから総隊長が痺れ切らして…ってとこだろーけどね」
ハハハと笑いながら、垣沼は死覇装を着直し、隊長羽織を取る。
「よし、そいじゃあいざ出発九番隊!!悩める五番隊副隊長を救うのだ!!」
さながら遠足前のやんちゃな男子小学生のごとき勢いで右手を上げ、垣沼は恋次を見る。
「…何すか?」
「いやいやいや、ノってよ、何かこうさ…オーとかイェーとかあるじゃん?」
「…おー」
「これだ!!ああヤダ!!最近の若い衆はツッコミが足らないんだって俺の爺様が言ってたよ!!
やれ謙遜だやれ謙虚だのって、ああ面倒くさい!!」
そう言うと垣沼は恋次の死覇装の襟をガッシリと掴む。
「え?」
「ほぅらひとっ飛び!!」
「いや、ちょっ…えええええ!?」
垣沼はもう片方の手で窓を開け、恋次の襟を掴んだまま大空へ飛び立っていった。
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