32人が本棚に入れています
本棚に追加
「に、虹織君?」
京楽が、驚いた顔で垣沼を見る。
「恋次君から聞いて手伝いに来たんですよ、桃ちゃんが何か困ってるって」
「あ、ありがとうございます」
目配せをする垣沼に対し、雛森は少し引き気味に礼を言う。
「とにかくこれで隊長が二人、一気に終わらせましょう」
気合いを入れ直す七緒を見て、垣沼が手を叩く。
「おお、さすが、やる気満々じゃない、七緒さん」
七緒の指示で、伸びた恋次を除く全員が席についた。
その時だった。
『隊長各位に通達、これより緊急隊首会を執り行います。
各隊の隊長は至急一番隊隊舎へお集まりください。
繰り返します―』
「………」
「………」
京楽と垣沼は、顔を見合わせた。
「京楽隊長、垣沼隊長…」
皆が、一斉に二人を見る。
「……何だろう?」
「空鶴隊長が何かやったんじゃないですかね、ずっと総隊長と話してたみたいですし」
京楽は、七緒を見る。
「……七緒ちゃん、雛森ちゃん、勇音ちゃん…ごめん…抜けなきゃいけないみたい」
ハァと大きな溜息をつき、七緒は雛森と勇音を見る。
「…まあ、初めから隊長には期待してませんからね、早く行ってきてください。
業務だけなら、隊長より熟せる自信はありますから」
三人は作業に戻り、また忙しなく動き始めた。
「…いい副官ですね、七緒さん」
「……うん、厳しいけどね」
二人は副官三人に一礼し、隊首室から出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!