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シャロンは目の前にいるブライトスターに少しばかりか恐れを抱いている。
昔自分の国全てを敵に回すことになっても揺るぐことのない信念だけで戦った彼女が今こうして刃を交えているからだ。
生きる伝説。
いや、蘇った伝説だ。
「くっ・・・・・・」
「どうした?迷いのある顔だな」
ブライトスターの言葉はシャロンの核心をついていた。
大樹の目の前でブライトスターを討ち取るのは気が引けるのだ。
「時の騎士!何をためらっている!?」
夜狐がシャロンを怒鳴った。
その声は確かにシャロンに届いていた。
早くブライトスターを倒さないといけない。
大樹を助けに来たのだから。
しかし、ためらい。
そして、恐怖で体は思うように言うことをきいてくれない。
「世話のやけるっ」
夜狐がシャロンの援護に駆けつけようとした瞬間だ。
風のように、いや光が夜狐の体に衝突した。
「がはっ!」
「狐のねーちゃん、俺のこと忘れてへんか?」
イヴの拳が夜狐のわき腹の辺りに深くめり込んだ。
衝撃に耐えて夜狐はイヴと距離を取り対峙する。
「おー。やるやん。そこそこ力入れたんやで」
「く、クフフフ。なに、これしき・・・・・・」
強がってはみるが、かなり重い一撃に夜狐から冷や汗が流れ落ちていた。
「そなたが大樹に武術を教えた師であるな」
「ん?まぁ師なんて大袈裟なもんやないで」
「そうかや。しかし、今は儂が師でありんす。お引き取り願おうかの・・・・・・。先輩」
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