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初めから全力じゃ。
心で決心した夜狐は素早く動く。
その素早さであっという間にイヴの背後にまわりこむ。
「魔気法“九火狐衝打”」
夜狐の唸る右の拳はイヴの背中をとらえてる。
強烈な一撃が確実に決まったと思った。
しかし、それはただの想像に過ぎない結果となって夜狐に驚愕を与えた。
今のを防いだじゃと・・・・・・。
「ふー、なんやその危ない術式は!?焦ったで」
夜狐の前方5メートル程の位置でイヴが言う。
「やっぱり強いな。見てなんとなくわかったけど、予想以上や。ほな、次は俺から行くで」
身構える夜狐。
見えぬ速さでイヴが接近してきた。
的確にイヴの攻撃を防ぐことは出来ないと考えた夜狐は全身にまんべんなく魔力を送ることに努める。
少しでもダメージを最小限にしようとしているのだ。
だが、イヴの容赦のない拳と足は夜狐の想像を遥かにこえたものだった。
「無駄やで。“烈光爆風掌(れっこうばくふうしょう)”」
閃光と爆風が夜狐の体に激しく衝突した。
体は大きく宙を舞う。
そして重力に素直に従い地面に落下した。
「・・・・・・く、ぁ」
光と風の混合魔法。
混合魔法とは幾つかの属性を合わせて発動する魔法である。
かなり高い技術を必要とするこの魔法はなかなか使える者がいない。
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