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平穏な街に響く悲鳴と、大きな爆音。
「「――っきゃぁああああっ!!」」
振り向いた先は、必ず通る交差点にある銀行だった。軽く爆煙が立ち込めている。
「ずらかるぞ!」
煙の中から現れた、マスクを被ったガタイの良い男たち。
強盗だ。
この光景を見た瞬間、何かに突き動かされるように、強盗に向かって走り出す。
――今思えば、これがすべての始まりなのだった。
「やめろぉおおお―――――――っ!!」
叫び、走りながらドロップキックを叩き込む。
身体能力にはそこそこ自信があるのだ。
「うぉっ」
吹き飛び、後方に滑る男。
「この坊主ッ!」
もう一人の男は、俺が立ち上がった瞬間にこっちへ向かってきた。右手に握っているのは――
フルーツナイフ。
「うぐ…っ」
男に腹を蹴られて、その場に崩れる。
――殺(ヤ)られる。本能で察知し、全身が警告を促す。
しかし、身体は言う事を聞かず、
その場に倒れてしまった。
「よくもやりやがったなァ!」
右手が振り下ろされ、ナイフが突き刺さろうとしたそのとき、鼓動の音が大きくなり、
意識が遠のいた。
――意識が戻った頃には、目の前には焼け焦げた地面と焼死体が3人。
そして、何事もなかったように佇む俺。
「…なんなんや……?」
周りには畏怖の眼差しで俺を見つめる野次馬と、警察に自衛隊。
事態を呑み込むと、俺は途端に怖くなった。
俺は、その場から逃げだすしかなかった。
「逃げたぞ!負え!」
警察が俺を追いかけるが、ンな事知ったこっちゃないと言わんばかりに、
兎に角逃げた。
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