<I>#00: 覚    醒

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 林にたどり着くと、そこはとても静かで、 人っ子ひとりいない空間だった。ここなら警察の目にも止まるまい。 …ある意味最高の隠れ場所を見付けたかもしれない。 俺はそう思い、早速あの能力の訓練をすることにした。 能力を使えるようになれば、行動範囲も増えると思ったからだ。 「………」  まずは、心を落ち着かせる。そして、右手をかざす。 右手に力を込める…が、出ない。 「…?」  何が駄目だったのか。その答えは、 意外とすぐ見出せた。  あのときの「本能的な危機感」である。 「もしかして…」  あんな危機的状況に陥れば、またあの力が出るかもしれない。 その時は自分の意思でコントロールできれば――。 と、そこに犬の吠える声が聞こえた。まさか。 《もう逃げられんぞ!》  ビンゴ。警察は一晩かけて、俺を追いかけていたのだった。 《お前は包囲されている!大人しく林から出て来い!》 「……っ」  ここで捕まったら、間違いなく俺は死刑判決だ。 捕まる訳には行かない。その時、鼓動の音が大きくなる感覚がした。 「くっ……!!」  これだ。ここで意識を保てば……よし、と思ったその瞬間、 全身に鎧を纏う様にして、炎が噴き出した。 「燃え…てる?」 どうやら炎の能力らしい。よし、今度も煙に巻いてやる。 《よし、そのまま出てくればいいんだ!》 「…お生憎様ッ!」  地面を蹴ってジャンプすると、空に飛んだ。 「飛んでる……っていうか、飛べる!」  進みたい方向に体を動かすと、空を飛べた。 ――この能力、すごくいい。 「やっほー♪」  空を飛び、都市部まで舞い戻ると、 丁度いい感じのビルの屋上があったので、降りてみた。 地上に降りると炎が消え、普通の状態に戻った。 どうやら、警察達の追跡は巻けたようなので一安心。
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