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今の世界で給料を求めて仕事をしている人はいない。
金が必要ないからだ。
普通は食材や道具を買うのには金が必要だが、この世界はそれがない。
食材は何週間に一度、皆に均一に分け与えられ、道具は貸し借りでなんとかしている。
そんな生活をしているため、市民達はお互いを助け合うという心を自然と持つことができて、仲が良い。
「私は別にほったらかしでも良いよ。お姉ちゃんのとこに行って愚痴を聞いてもらうから」
「なんだよそれ…。そんなことされたら俺、義姉さんに何されるか…」
スノウは頭の後ろで組んでいた手をほどくと今度は頭に手をつけ、ぐたっとしながら言う。
「そうだね。浮気なんかしたら殺されちゃうかも」
セラは笑いながら言うと、スノウは頭を抱えさらにぐたっとした。
「いや、それは大丈夫だ。俺は浮気なんかしない! 神に誓って!」
スノウはガバッと顔を上げると、拳を力強く握りながら言う。
この言葉を言うのは何度目だろう。
「本当にー?」
セラは笑いながら、意地悪そうに言う。
「あぁもちろん!」
スノウは拳を握りながらセラを真面目な顔で真っ直ぐ見る。
「ふふっ。わかった、信じる」
セラがそう言うと、スノウは真面目な顔から嬉しそうな笑い顔に表情を変えた。
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