ロアーヌ反乱事件

2/26
前へ
/49ページ
次へ
ヨルド海沿岸地方、気候に四季のある北緯に位置しているこの地方に、かつて荒れ地にあった廃墟にて、聖王の仲間・・・フェルディナントが国を起こしたとされるこの地は、開拓され始めたものの発展途上にあった。 ロアーヌ城のある城下町ロアーヌ、その地方の唯一の港町ミュルスを除き・・地方、特に東は辺境の開拓途中の土地であった。 先代のロアーヌ候フランツが没後国を治めたのは息子のミカエル・アウスバッハ・フォン・ロアーヌ(27)・・・であった。 ミカエルは、先代と同様に信頼の厚い領民を気遣う王であった。 雪解けが終わった・・・雨季、約5月の始めにミカエルは毎年恒例となった開拓民の為のモンスター狩りに出ていた・・。 ミカエルの留守を預かったのは、親戚で叔父に当たるゴドウィン男爵と大臣だった。 そして、ミカエルの唯一の肉親・・妹のモニカも残っていた・・・。 (ロアーヌ宮殿) 雨季のヨルド海沿岸地方は、比較的雷の少ない雨季が多かった・・・しかし、この年の雨季は雷を伴っていた。 「嫌な天気だわ・・お兄様は大丈夫かしら・・・」 ブロンドの髪をなびかせた美しい容姿の少女、ミカエル候の妹モニカ・アウスバッハ(19)は、窓の外を眺めて崩れゆく天気、雨雲を見ており、この地方には珍しい雷雨なだけに、彼女は不安を抱いたのだ。 「それにしても・・今年は雷が非常に多いわ・・・何か起こらないといいけど・・・」 モニカが窓から、離れて自室へ向かう・・・。 初代ロアーヌ候、フェルディナントは質素な生活を好む勇猛な王だった・・・比較的城は、他の国と比べて必要最低限の敷地と施設を除き・・・本当に狭い城だった。 入り口を入ってすぐに、ミカエルの王座の間があり、必ずその前を通って人々が行き来していた。 いつものように、モニカは王座の間に近い回廊を歩いていた。 「・・・」 「え、?」 王座の間から、声がした。 『お兄様は、遠征中・・・王座の間には、誰もいないはず・・・・』 モニカが不安を覚えて、王座の間を覗いた。 (王座の間) 留守を預かっていた大臣が、この場にいないはずのゴドウィン男爵と共に王座の間に立っていた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加