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「フフン、ミカエルは僅かな兵のみで、遠征中・・・決行は今夜にしよう」
ゴドウィン男爵が、怪しい笑みを浮かべた。
「もうすぐ・・・この王座が私の物に・・・」
ゴドウィン男爵が、そう呟き、権力を手にする自分に酔いしれながら、恐れ多くもロアーヌ候の玉座に腰を掛けた。
その顔は、モニカの目には、何かに操られ、狂っているかのようにすら見えてしまう。
「その時は、私をお忘れなく・・・ゴドウィン男爵、いやロアーヌ候ゴドウィン閣下」
大臣がそう言って、もみてをしながらゴドウィンに近寄った。
彼もまた、今よりも高い権力を求め、その顔は醜いまでに欲望の色を醸し出していた。
「フハハハ!!」
「フヒヒヒ!!」
二人して、高笑いを上げた。
彼らには、この会話を聞かれてしまうという可能性すら、自分達の障害にはならないまでに、自分達に酔いしれていたのだ。
「それともう一つ・・・モニカを押さえておけ、念には念を入れてな?」
最後にゴドウィン男爵が、冷徹な目をして大臣にそう命令した。
(王座の間、回廊)
「・・・・・」
無言のまま、モニカは気付かれないように、自室へ戻って行った。
(モニカの部屋)
モニカは、急ぎ足で自室へ駆け込んだ。
「どうなされました?モニカ様」
侍女と思われる女性が、モニカに声をかける。
「カタリナ大変なの!!」
謀反を知ったモニカが、その整った顔を蒼白にしながら、カタリナと呼ぶ女性に駆け寄り、事情を説明した。
ロアーヌの貴族で、モニカのボディーガードも勤めている彼女は、モニカの話しを聞いて反乱を知った。
「わかりました一大事ですね・・・私がミカエル様に伝えましょう」
カタリナがそう言うと、モニカが何やら考えだす。
「カタリナ・・・まって、私が伝えに行きます!このままでは、私は人質になってしまいます・・・」
モニカがそう言って、カタリナを見た。
カタリナは、夜遅くしかも嵐になりそうな夜に、モニカを一人で行かせるのは、危険だと判断した・・・・が、このままでは確かに人質にされてしまうとも考えた。
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