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モニカからの話しを聞くに、今のゴドウィン男爵と大臣はまともではない。
このまま、彼女を捕らえた後、彼女が無事でいる保証は、不思議とほとんど無い気がした。
「わかりました・・・モニカ様、お気を付けて」
カタリナは、ほとんど勘だった。
彼女は自分の感じた嫌な予感を信じ、モニカが嵐の中森へ飛び出して行くことを承諾したのだ。
「お兄様が戻れば全て解決するはずです・・・時間稼ぎをお願いね」
カタリナにそう言って、モニカは自室の隠し扉(鏡の裏)から出ていった。
貴族や王族は、万が一に備え、こうした要所要所に、隠し扉や隠し部屋などの逃げ道を用意しているのだ。
脇の窓から、馬に乗ったモニカを見送ったカタリナは、早速時間稼ぎを始めた。
「さて・・・まずは、替え玉ね」
(シノン開拓地)
ロアーヌを抜け出したモニカは、馬を駈けてミカエルの宿営地を目指していた・・・。
「嫌だ・・・本格的に降り出したわ!?」
雷雨に見舞われ、モニカはずぶ濡れになりながらも宿営地を目指して走った。
幸か不幸か、この雷雨のおかげで、馬の足音はかき消され、モニカはロアーヌ城からの脱走に、成功したのだ。
「ブルブル・・・」
しばらくして馬が力尽きたのか、その足を止めた。
「どうしたの!?・・・・・お願い、走って!?」
モニカが馬を何度も撫でて、励ますがこの5月の雨季は気温が低く、例年に無いまでの豪雨となっていた。
その雨と寒さは、容赦なくモニカと馬の体力を奪い、馬から走る気力さえも奪った。
「・・・・・・」
この馬は、もう限界なんだとモニカは、悟り仕方なしに、彼女は馬を下りて近隣の村へ向かった。
この場に馬を置いて行くのに、心配そうなのか、何度も馬に振り返りながら・・・・・・
(シノン開拓地)
開拓民の集う村・・・・シノンは、開拓の始まった土地だった。
未開拓の地だけに、よくモンスターの被害があったので、交代制で若者達が見張りをしていた。
メガネを掛けたリーダーらしき若者が、召集をかけると若者達が集まってきた・・・。
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