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ユリアンがそう言って、彼女に向き直った。
｢何？｣
エレンには、この後の展開を予想できていた。
｢ミュルスに船が着くらしいよ・・・｣
｢それで？｣
やはりか・・・というリアクションでエレンがユリアンの話しを聞いた。
｢色々なものが入ってくるらしいんだけど・・・一緒に見に行かないか？｣
ユリアンがデートの誘いをした。
｢見に行くのは、いいけどね・・・ユリアン、私はあなたとはそういう関係になれないと思うんだ？｣
エレンにそう切り返されたユリアンは、事情が読み込めなかった。
｢互いによく知りすぎているよ・・・昔はよくお嫁さんゴッコとかしたけどね？｣
ユリアンはようやく、自分が振られたのだと悟った。
ユリアンは、なんだか泣きたくなった。
｢そ・・・そだね｣
そう言ったきり、ユリアンとエレンの間には、冷たい空気が流れる。
｢失敗か・・｣
ユリアンの失恋を悟った、トーマスが思わず呟いた。
｢え！？ごめんね何か失敗した・・・・？｣
サラが謝る・・・どうやら、ユリアンの告白に気付いていないらしく自分の事だと思ったらしい・・
｢いや、サラじゃなくて・・｣
トーマスがそう言いかけて、止めた。
｢？｣
サラが首を傾げた。
『危うくユリアンの失恋をバラす所だった・・・・・危ない危ない』
トーマスが、気を取り直して、ユリアンの為にも元気が出るような美味い料理を作ってやるかと、みんなの兄貴分らしく考えた時・・・・
・・ガチャ・・・
パブのドアが開いた。
｢馬を・・・お願い馬を貸して・・・・・｣
フラフラした足取りでモニカが、パブに入って来た。
｢大丈夫か！？｣
思わずユリアンが、倒れかけた彼女を間一髪で抱き止めた。
｢馬ならあるよ、お嬢さん｣
マスターが、モニカに答えた時、カウンター席にいた褐色肌の旅人が口を開いた。
｢関わり合いにならない方がいいぜ、その方はロアーヌ候の妹君のモニカ様だ｣
褐色肌の旅人は、腰に曲刀を下げていた。
おそらく、この地方を旅して回っていたのだろう、彼女の正体を一発で言い当ててしまった。
｢モニカ様！？｣
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