ロアーヌ反乱事件

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思わずユリアンが手を離しかけそうになったが、彼女が倒れそうなため無礼を承知で支えた。 『本当だ・・・・よく見ると綺麗じゃないか・・・・じゃなくて!!』 ユリアンが冷静になって、旅人に向き直った。 「妹君なら、尚更助けなきゃ!!モニカ様、一体どうされたのです!?」 ユリアンの正義感が、燃え上がる。 「お兄様に伝えないと・・・反乱が・・・」 旅人が、そう言いかけたモニカに変わって話し始めた。 「先代のフランツが死んでミカエルが即位してから、国内の状況が怪しいと聞く・・・主君のいない今が絶好の反乱日和だな」 旅人の推測通りだった。 その口調は、権力というものをよく知っており、人間の本質を見抜いているようだった。 「それにモニカ様、あんた一文無しだろ?俺は、金にならない仕事はしない」 「オッサン!!腰の曲刀はかざりかい!!」 エレンが、そう言って腕を捲りながらいきり立った。 「・・・ミカエル様は、先代のフランツ様と同様に俺達によくしてくれているんだ俺は行くぞ!!」 ユリアンも立ち上がった。 「お客さん、金は無いけど馬はあります・・・私からもお願いしますどうかこれで・・」 マスターが旅人に、頼む。 彼らは、心から主君としてのミカエルを慕っており、そんな彼らに眩しいものすら感じた旅人が、ゆったりと目を瞑った。 「馬か・・・良かろう・・・それで行くのは、そこの兄ちゃんと元気な姉ちゃんか?」 旅人が当たりを見渡した。 「俺も行くよユリアン」 「そう言ってくれると思ったよトム!」 「私も・・」 サラが手を上げた。 「サラ!?あんたは、残ってなさい・・・・」 「サラをのけ者にする事無いだろう」 ユリアンがエレンにそう言った。 「違うわよ!!・・・私は、ただサラが心配なだけで」 「どうでもいいから、早く決めろよ」 「この4人で行くよ」 「トーマス!?」 勝手に決めたトーマスに、エレンが駆け寄る。 「大丈夫だエレン、俺も行くんだし・・・・・みんなで守るから、心配するな」 トーマスが、年長者らしく言い聞かせる口調で、エレンにそう言った。 「よし、決定だな?俺はハリード(33)だ」
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