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 アルバイト先は小さな中華料理屋で、ぼくは一日の大半をそこで過ごす事となる。店長はとても気さくな人で、社員やお客さんにも評判がよい。ちょっと薄くなった頭も笑いの種にするほど、おおらかな人だ。僕は仕事を覚える事に必死で、しばらくは冗談を言う暇もなかったが、そんな僕にも優しかった。働いてる人間のほとんどが、僕より年上の人達ばかりだったが僕と同じ高校生の女の子が一人いた。名前は宮部 雅美。どちらかというと、今時の高校生という感じではなく、おとなし目で、アルバイトという言葉が似つかわしくないタイプだ。僕は人見知りをする人間ではないので、同世代ということも手伝って、彼女と話すことも多かった。
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